彩磁記

公害の克服

第13回 霞 〜公害問題(その1)〜

フェライトや顔料の需要の伸びは、戸田工業にとって喜ばしいことではありましたが、同時にたくさんの問題も抱えることになりました。
原料となる硫酸鉄の不足、新規参入による価格の下落―中でも一番深刻だったのが、公害という問題でした。

原料の硫酸鉄を焼いて酸化鉄(フェライト材料や弁柄)を作っていましたが、その時に発生する亜硫酸ガスに悩まされることになったのです。酸化鉄を量産すればそれだけ多量のガスが工場から発生し、周囲の環境を破壊していきました。風向きや天候によっては、霞のように低くたなびいたり、ひどい時は10メートル先が見えないこともありました。

そうした中、地元住民の苦情も日毎に増していき、険悪な雰囲気に陥りました。
対策として、昭和32年5月、広島工場に排ガス除去装置を設置しましたが、亜硫酸ガスによる腐食のため短期間で取り替えなければならないことや、ガス除去の能力も完全ではないため、住民の苦情に十分応えることは出来ませんでした。

かくして公害という、避けては通れない重大な問題を抱えることとなる苦難の時代が到来したのです。

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