彩磁記

技術開発の時代へ

第20回 MRM-400 〜テープ材の開発(その2)〜

昭和46年に、それまで好調だったSD磁性粉が、主力ユーザーであったアメリカのコンピューターテープメーカーの業績不信の影響を受け、約2年で輸出量が激減していました。そこで国内向けに販売しようとしましたが、SD磁性粉の性質は日本のテープメーカーに上手く馴染まなかったことから、新製品の開発に着手しました。これがMRM-400という製品です。

SD磁性粉が高音域に優れているのに対し、MRM-400は低音域に特性を持ち、販売量は増加しました。こうしてみるみるうちにオーディオ用テープ材料の国内市場を、ほぼ独占するに至りました。低音域に優れるという特性は、演歌のお国柄、日本人の好みに合っていたのかもしれません。

さらに、舟入工場で特許を取得していた湿式合成製法によりコバルトを被着し、SAと命名された磁性粉の生産を開始しました。これが国内テープメーカーのVTR用テープ「アビリンテープ」に採用され、昭和53年以降はビデオの普及に伴い、飛ぶように売れたそうです。このSA磁性粉は、オーディオテープ用としても販売され、相次ぐ生産ラインの増設にもかかわらず、生産が追いつかないという嬉しい悲鳴をあげることになりました。

この当時の逸話として、ビデオメーカの社長が突然来社され、「うちにももっと製品をまわして欲しい」と直談判されたという話の他、ついに増産要求に対応出来ずにご迷惑をかけたお得意先さえあったそうです。
オーディオ・ビデオテープ材料という市場が形成された昭和46年、広島市舟入川口町(当時)にあった本社を横川新町に移転しました。

かくして新しい時代の幕が開きました。

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