次世代開発

素材を通じて新たな価値を提供し、未来社会への貢献を目指し続けます。

戸田工業の次世代開発

1.メタン直接改質法による水素・カーボンナノチューブの合成

国内外で脱炭素の動きが加速しており、製造から使用まで温室効果ガスである二酸化炭素(CO₂)を排出しないカーボンフリーな水素は、安定供給と低環境負荷の点から注目されているクリーンなエネルギーです。
当社では、メタンなどの炭化水素から水素と固体炭素を製造するメタン直接改質法 (DMR: Direct Methane Reforming 法)に着目し、高活性な鉄系触媒を用いることで、高効率に水素とカーボンナノチューブ (CNTs: Carbon Nanotubes)が得られる製造プロセスの開発に取り組んでおります。

メタン直接改質法
  • 反応式

  • 概略図

水素
  • メタン直接改質反応から得られる水素は、地球温暖化ガスであるCO₂を発生せず、また、火力発電の燃料としての使用時や燃焼して熱エネルギーとしての利用時にもCO₂を発生しないため、脱炭素社会の実現に貢献することができます。
  • バイオマス燃料を原料に使用することで、カーボンニュートラル実現に期待されています。
  • 当社では、CO₂フリーの水素を高効率に製造可能な水素製造プロセスの開発に取り組んでおります。
NEDO「水素社会構築技術開発事業」に採択

戸田工業株式会社とエア・ウォーター株式会社はこの度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募する「水素社会構築技術開発事業/地域水素利活用技術開発/地域モデル構築技術開発」に応募し、「北海道豊富町未利用天然ガスを活用した地域CO₂フリー水素サプライチェーンの構築」(以下、本事業)が採択されました。当社は本事業を通して、カーボンニュートラル社会に向けた地域水素利活用の取り組みを推進して参ります。

ニュースリリースURL
https://ssl4.eir-parts.net/doc/4100/announcement1/91146/00.pdf

カーボンナノチューブ (CNTs)
  • DMR法の副生成物である固体炭素は、CNTなどの炭素材料として得ることが可能です。
  • CNTとは、炭素原子からなる六員環を平面上に並べたシートを筒状に丸めた単層もしくは多層の構造をしており、その直径は数nm から数10nm の範囲にあり、長さは数10μm に及びます。
  • 軽量・高強度・高伝導率・高熱伝導率などの優れた特長を持つことから、LIB導電助剤をはじめ、導電性フィラー、補強材、電磁波吸収材等の幅広い用途での実用化が進められております。
  • CNTは分散しにくく、機能を十分に発現するためには高度な分散技術が必要とされています。
  • 当社では、DMR法における触媒やプロセス技術により、高付加価値な多層CNTの開発を行っております。
代表的な製品の特性
TC-2000
CNTタイプ 凝集タイプ
平均チューブ径 (nm) 16
長さ (μm) 1-5
純度 (%) >91
嵩密度 (g/cm³) 0.05-0.10
結晶性 IG/ID 0.9-1.3
分散性の比較
CNT制御技術

2.土壌・地下水浄化剤

有害物質(揮発性有機化合物VOCsや重金属類等)によって汚染された土壌や地下水は、人体の健康、農作物や植物の生育、生態系へ影響を及ぼします。また、有害物質はその場に滞留しやすいため長期にわたって汚染されたり、地下水に溶出することで汚染が広がるおそれもあり、汚染の拡散防止や有害物質の分解・除去などの措置を取る必要があります。
これらの解決を図るため、当社では、土壌・地下水浄化剤の開発に取り組んでおります。当社開発品は、ナノ鉄(α-Fe)をカーボン基材中に高分散した高活性材料であり、汚染土壌・地下水を原位置で浄化処理できる革新的ナノ鉄/炭素複合材料です。

複合材料の構造
    • αーFeを含むFeナノ粒子(10~100nm)が分散
トリクロロエチレン(TCE)分解性能
  • 当社開発品は強い還元性能を有し、ClをHに置き換えてVOCsを分解します。
  • 分解速度は通常の鉄粉の100倍以上です。
  • 従来品RNIP®(α-Fe+Fe₃O₄)よりも高い分解性能を発現しています。

模擬汚染水(土壌汚染対策法の溶出基準値より約5000倍のTCE含有)をガスクロマトグラフにて分析し、浄化剤添加後の反応時間に対するTCE濃度の増減挙動を観察した。