トップメッセージ

微粒子と人の可能性を信じて、新たな歴史を創ります。

 1823(文政6)年に創業した当社の歴史は、酸化鉄の微粒子であるベンガラづくりから始まりました。日本最古の顔料といわれるベンガラを製造した技術者集団が、私たちのルーツです。以来、200年の長きにわたって、独自の技術と情熱で微粒子の可能性を広げながら、人と社会に必要とされるものを創り続けています。
 先人たちは、産学官連携という言葉がない時代から、研究機関と連携して多様な化学素材を共創してきました。まだ世の中にないものを生み出す挑戦ですから、開発には時間を要します。次に求められるものは何か。情報をいち早くキャッチして、製品化につなげる新しい技術を生み出し、研ぎ澄ましていく。そして、新しい価値の創造に挑む熱意を持ち続け、お客様と力を合わせて結果を出してきた、その積み重ねの上に、戸田工業グループの今と未来があります。
 200年の歴史に学び、未来を切り開くために。私たちは今、原点に回帰して、顔料や複写機・プリンター用の着色材料を基盤事業として付加価値を高め、用途を広げています。その上で、高品質な磁石材料や誘電体材料、リチウムイオン電池用材料を成長事業と位置づけ、お客様やパートナー企業に提供しています。これらの化学素材や部材は、スマートフォンや自動車、家電など、皆様の暮らしを豊かで便利にするさまざまな製品に活用されています。
 そして、今後ますます求められるのは、世界が直面する課題解決に役立つ環境関連事業だと考えています。当社の歴史には、公害が社会問題になった時代に、環境に負荷をかけない湿式合成技術を、業界で初めて確立した実績があります。培った微粒子合成技術をさらに進化させ、持続可能なエネルギーとして期待される水素を鉄系触媒で製造するシステムや、ナトリウムフェライトを用いたCO₂分離回収技術などを通して、脱炭素社会の実現に貢献することが、これからの私たちの大きな使命です。
 いつの時代も見つめ続けてきた、小さな粒子に込められた無限大の可能性を、私たちは信じています。そして、技術と情熱を受け継いだ人間もまた、限りない可能性を持っています。信頼と感謝の気持ちで結ばれたステークホルダーとの強い絆で、未来への希望となる新しい価値を創造しながら、次の100年をめざして生々発展してまいります。

代表取締役社長執行役員
寳來たからぎ しげる