リスクマネジメント

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、2022年度(2023年3月期)末現在において当社グループが判断したものであります。

予期し得ない事業環境急変に関するリスク

当社グループはグローバルに事業展開していることから、国内外における政治・経済の情勢悪化、輸出入や外資企業への規制、テロ・戦争・パンデミックの発生等に伴うサプライチェーンの分断又は世界的な貿易摩擦の長期化により、当社グループの企業収益が悪化するおそれがあります。コスト構造のスリム化、生産拠点・資材調達の複数化等の施策による収益体制の強化を通じて、事業環境の変化に備えております。しかしながら、米中デカップリングの深刻化等、政治・経済情勢に予期し得ない環境の変化があった場合、当社グループの資金繰り環境、財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

製品品質に関するリスク

当社グループでは、モノづくりへの取組みを進めていくための原点である「Toda Spirits」を定め、「継続的改善活動を展開し、顧客の信頼と満足を得る品質を提供する」という品質方針の下、品質保証活動を推進しております。各事業所における品質マネジメントシステム(ISO9001)の運用、車載用製品に対するIATF16949システム導入による源流管理、プロセス管理の強化、営業及び製造から独立した品質保証部による品質監査、人材育成の強化等の活動を行っております。しかしながら、各国規制の変化や車載用製品を中心に顧客の要求水準が高まる中、品質上の欠陥や事故が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

原燃料の調達に関するリスク

当社グループは、原材料等を複数の外部供給者から購入し、適正な在庫の確保を前提とした生産体制をとっておりますが、一部原材料等は、代替困難な限られた供給国、供給者に依存する場合があります。そのため、各国の輸出入規制や環境規制、供給者の被災及び事故等による原材料等の供給中断、品質不良等による供給停止、さらに製品需要の増加による供給不足等が発生する可能性があります。また、海外生産拡大に伴う現地調達においては海外の諸情勢に悪影響を受ける場合があり、それらが長期にわたった場合、生産体制に影響を及ぼし、顧客への供給責任を果たせなくなる可能性があります。市場における需給バランスが崩れた場合、原材料価格の高騰や原油及び石炭をはじめとするエネルギー価格の高騰による製造コストの増大が想定されます。原油及び石炭等建値相場の影響を受ける原燃料の仕入れも増加しております。このような仕入価格の変動を販売価格への転嫁や海外を含めた当社グループでの共同購入及び共有化等の原価低減活動で吸収しきれなかった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

新製品の開発力、技術革新、事業拡大に関するリスク

当社グループは、酸化鉄総合メーカーとして、製品開発力と供給力を高めてまいりました。加えて、更なる発展のため、酸化鉄以外の事業への多角化も進めております。また、市場の動向分析に基づく継続的な研究開発体制の見直しや、開発テーマの選択と集中を高めるための組織改革により、事業開発のスピードアップや営業力の拡充を図っております。しかしながら、既存製品市場における需要減退、競合先による安価な製品又は代替製品が出現した場合、新製品の開発が計画通りに進展しない場合又は技術革新による新製品が出現した場合には、当社グループの競争力が低下する恐れがあり、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

減損損失・在庫評価損等のリスク

当社グループは、電子部品及び自動車市場の顧客に素材・部材を提供しており、顧客の業績及び経営戦略の転換等によって需要の変動が発生した場合には、在庫評価損等が発生する可能性があります。また、当社グループは、品質及び生産性の向上並びに事業拡大のため、製造設備等の投資を継続的に行っており、多額の固定資産を保有しております。固定資産については、定期的に調査を行い、減損の兆候が認められる場合は適切な会計処理を行っております。しかしながら、固定資産の時価が著しく低下した場合や事業の収益性が悪化した場合には減損損失が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

情報セキュリティに関するリスク

当社グループでは、事業や業務を通して、取引先や当社グループ内の機密情報等を保有しており、これらの情報に対して、ウイルス感染やサイバー攻撃等、外部からの攻撃や内部的な過失による情報流出、システム停止等が生じる可能性があります。当社グループは、これらの脅威に対して、ソフトウェア、ハードウェアの技術を活用した管理及び制御による技術的対策、入退室・施錠管理等の強化による物理的対策、情報セキュリティ関連規程の見直しや当社グループ及び協力会社の従業員に対する定期的な教育・訓練等の人的・組織的対策により、情報セキュリティの強化を図っております。しかしながら、前述の脅威が顕在化した場合は、情報システムの停止等により、当社グループの信用、財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

訴訟等に関するリスク

当社グループは、法令遵守を重視した事業活動を行っておりますが、知的財産権に関する争いを含め、事業活動の中で第三者との訴訟、クレーム又は種々の紛争に関わる可能性があります。契約条件の明確化、知的財産権の適正な管理、弁護士等専門家との連携等により、紛争等の未然防止に努めております。しかしながら、訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの信用、財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

コンプライアンスに関するリスク

当社グループは、法令遵守を重視した事業活動を行うべく、適切な社内規程整備を行うとともに、コンプライアンス行動規範を定めて、従業員に対するコンプライアンス教育の実施、内部通報制度等を整え、グループ全体のコンプライアンスの維持及び向上に取り組んでおります。しかしながら、当社グループにおいて、故意又は過失による法令違反、不正、ハラスメント等のコンプライアンス違反が発生する可能性があります。また、当社グループは、グローバルに事業活動を行っていることから、各国の法規制等の改廃により、当社グループの事業活動に不利な影響が生じる可能性があります。これらの内容及び結果によっては、当社グループの信用、財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

災害等に関するリスク

地震・集中豪雨等の自然災害、火災等の事故、重大な感染症によるパンデミック、電力や物流等の社会インフラの長期的な停止等によって、当社グループの各拠点において事業活動に支障が生じる可能性があります。BCPの策定、設備の定期点検や改修及び定期的な防災訓練、備蓄食料や非常電源の準備等の対策を行っておりますが、この様な災害等が発生した場合、当社グループの操業が中断し、生産及び出荷が遅延することにより、売上が低下し、加えて製造拠点等の修復又は代替のために、巨額な費用を要することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

戦略的提携に関するリスク

当社グループは、既存事業の拡大あるいは、新たな事業への進出等のために、事業戦略の一環として企業買収・M&A等の戦略的提携を行う可能性があります。これら戦略的提携に際しては、市場動向や相手企業について十分な調査検討を行っております。しかしながら、買収・提携後に市場環境の著しい変化があった場合等、当初想定した計画通りに進捗しない場合には、投下資金の回収ができない場合や追加費用が発生すること等により当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

人材確保と人材育成に関するリスク

当社グループは、経営戦略やグローバル経営といったマネジメント能力及び専門性を有した人材の確保が重要と考えております。新卒採用及び経験者の通年採用を通じて人材の獲得を行うとともに、階層毎の教育プログラムを充実させ、人材の育成も推進しております。しかしながら、少子高齢化、労働人口減少等により人材獲得競争が激化し、事業運営に必要となる優秀な人材の確保が困難となり育成が計画的に推進できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

為替レートの変動に関するリスク

当社グループは、海外の関係会社が14社あり、各地域における現地通貨建ての財務諸表の項目は、連結財務諸表作成のために円換算されております。加えて、日本からの輸出の大部分は外貨建てであり、海外関係会社への外貨建て貸付等も行っております。常に為替変動のモニタリングを行い、円建て又は安定的な通貨での取引、外貨建て取引については外貨預金口座での決済を行う等の対策をとっておりますが、円に対して外貨の為替変動が想定以上となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

カントリーリスク

当社グループは、中国をはじめとしたアジア、北米、ヨーロッパに海外拠点を有しております。各拠点とは定期的に海外安全情報等を共有して適時適切な対応がとれるよう努めております。しかしながら、これら拠点のある国において、紛争やテロ、政治情勢の悪化、大規模災害、パンデミック、労働争議、外資規制等が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

環境に関するリスク

当社グループは、製品の製造過程において、原材料及び廃棄物等の化学物質並びに燃料、電気及び蒸気等のエネルギーを使用しております。また、多くの水資源を使用しており、使用した水は排水処理工程を経て無害化し、全量を河川・海に排水しています。このため当社グループは、化学物質管理、エネルギー管理、水資源管理を徹底し、法規制に沿ったリスクアセスメントを実施しております。しかしながら、環境に関わる法規制が変更された場合や、自然災害及び火災等の事故による化学物質の流失が発生した場合、当社グループの信用、財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

気候変動に関するリスク

当社グループでは、将来の世代も安心して暮らせる持続可能な経済社会をつくるため、気候変動を経営上の重要課題とし、地球温暖化対策に取り組んでおります。しかしながら、気候変動について、移行リスク(カーボンプライシングによる税負担の増加、低炭素化設備・低炭素プロセスへの転換による設備投資の増加等)と物理的リスク(自然災害による建物や設備への被害、海面上昇による沿岸部事業所への追加投資の発生等)があります。
詳細については、2023年3月期(第90期)有価証券報告書「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)気候変動への対応(TCFD提言への取組)②戦略」に記載しております。

知的財産に関するリスク

当社グループは、重要な財産である知的財産に関わる創作活動を奨励し、その適切な保護と活用を推進しております。事業展開に必要な製品及び技術について知的財産権の確保に努め、第三者の知的財産権を侵害しないように十分な調査を行っております。しかしながら、想定するような権利範囲が確保できない場合又は第三者の知的財産権を侵害しているとして権利侵害の訴えを起こされた場合、財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

事業継続基本方針

当社グループは、大規模地震や水害等、何らかの理由により業務の遂行に支障が生じた場合(以下、「非常時」という)に、お客様や従業員をはじめとする生命の安全確保を前提とし、事業資産の損害を最小限にとどめ、中核となる事業の継続、早期復旧を行うことを事業継続基本方針とします。

この方針を実現するため、平素からの積極的な事業継続への取組み及び継続的な維持・改善に資するための推進体制を確立するとともに、グループ会社と緊密に連携し、被害軽減のための事前対策や重要事業の早期再開のための代替リソースの確保要領、被災時や復旧時における対応組織や具体的な対策並びに復旧の優先順序などを予め定めておくことを重視します。

こうした考えに基づき、行動指針を以下のように定めます。

平常時における行動指針
推進体制の確立

事業継続計画(BCP)を策定し、維持管理していくための組織を確立します。

事業影響度の評価と対策

各事業部門において非常時に受ける影響を評価し、復旧のための対策や優先順位を計画、実施します。

手順書等の作成と訓練の実施

非常時における事業の継続、早期復旧を行うための手順書等を作成し、計画的な訓練を実施します。

BCP実効性の評価と見直し

事業環境の変化や訓練の結果を定期的に評価し、その結果に基づいた対策計画や復旧手順書の見直し、改善を継続的に実施します。

BCP文化の醸成

BCP運用に対する従業員の認識を促進させるため、平時より継続的に教育・訓練を実施します。

緊急時における行動指針
人命安全確保、安否確認

お客様や従業員をはじめとする人命の安全確保、安否確認を行い、二次災害の防止対策を実施します。

近隣(地域社会)対応

情報交換や復旧活動の場所の提供など近隣との各種やり取りを実施します。

事業の早期復旧

予め定めた計画に基づき、事業継続行動を実施します。

以上