TCFD提言に基づく気候関連の情報開示
TCFD提言への賛同表明
当社グループでは、将来の世代も安心して暮らせる持続可能な経済社会をつくるため、気候変動を経営上の重要課題とし、地球温暖化対策に取り組んでいます。
また、当社グループは、2023年7月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言へ賛同を表明いたしました。
- ガバナンス
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気候変動対応への全社的な推進・管理に向けて、リスク管理委員会(委員長:代表取締役社長執行役員)の直下に、CSR・環境委員会を設置し、国内グループの環境に関する統括管理を実施しています。
取締役会は、リスク管理委員会からの報告を通じて気候変動への対応状況を確認し、必要な体制・制度の構築について決定・監督を行っています。CSR・環境委員会は、委員長を経営企画室長が担当し、全社横断的な各事業所の責任者および担当者で構成しています。
- 戦略
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気候変動により世界全体の平均気温が4℃上昇することは、社会に非常に大きな影響を及ぼします。気温上昇を1.5℃未満までに抑えることを目指すパリ協定を踏まえ、当社グループでは、1.5℃シナリオと2シナリオおよび4℃シナリオにて、リスクと機会を分析しました。
- 1.5℃/2℃シナリオ
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全世界が2050年カーボンニュートラルを目指した規制や政策を強化し、現状を上回る気候変動対策が実施され、平均気温上昇が産業革命前の水準から1.5~2.0℃程度に収まるシナリオです。
- 規制や政策への対応コスト発生および再生可能エネルギー電力価格上昇などの移行リスクが増加
- 物理的リスクの増大も想定されるものの、4℃シナリオよりも影響は軽微
- 情報源:IEA※1 WEO※22022の NZEシナリオ※3およびIPCC※4 RCP※51.9、RCP2.6など
- 4℃シナリオ
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現状を上回る気候変動対策が取られず、平均気温上昇は産業革命前の水準から4℃程度まで上昇するシナリオです。
- 異常気象の激甚化による被害増加や気温上昇による熱対策コスト増加などの物理的リスクが増大
- 移行リスクの増大も想定されるものの、1.5℃/2℃シナリオよりも影響は軽微
- 情報源:IEA WEO2022のSTEPSシナリオ※6およびIPCC RCP4.5など
- IEA:International Energy Agencyの略。国際エネルギー機関
- WEO:World Energy Outlookの略。エネルギーの需給や技術開発に関する見通しなどを示したレポート
- NZEシナリオ:ネットゼロ排出シナリオ。クリーンエネルギー政策と投資が急増し、先進国は正味ゼロに到達
- IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Changeの略。気候変動に関する政府間パネル
- RCP:Representative Concentration Pathwayの略。放射強制⼒の代表的な経路
- STEPSシナリオ:既存政策シナリオ。現在の政策のみを組み込み、新たな政策がない場合のエネルギーシステム
- 主要なリスク
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区分 種類 事業活動への影響 時間軸 評価 対応策 移行リスク(1.5℃/2℃) 政策/法規制 カーボンプライシング(炭素税、排出量取引など)による税負担の増加 中~長期 中 - 省エネ推進・再エネ利用拡大によるScope1+2 GHG排出量の削減
- 投資判断におけるインターナルカーボンプライシングの利用
技術 低炭素化設備・低炭素プロセスへの転換による設備投資の増加 中~長期 中 - 低炭素化を意識した製品開発によるライフサイクルコストの低減
- エネルギー効率の高い粒子合成技術の検討
市場 原材料・エネルギーの調達コストの増加 中~長期 中 - 製造工程におけるロスの更なる低減
- 調達コスト増加について売価への適切な反映
複写機・プリンター使用控えによるトナーの需要減少 中~長期 中 - 顧客ニーズの多様化・省エネへの対応によるトナー市場占有率の向上
- 機能性顔料の技術を活用した環境関連材料への用途展開
評判 気候変動対応への取組みが不十分と評価された場合、顧客、投資家からの評価低下 中~長期 中 - GHG排出量の削減推進
- 情報開示の拡充
物理的リスク(4℃) 急性 自然災害による建物や設備への被害 中~長期 大 - BCPの拡充と訓練実施
- 損害保険の活用
サプライチェーン寸断による工場操業率低下 中~長期 中 - BCPの拡充
- 調達先・搬送ルートの複線化
慢性 海面上昇による沿岸部事業所への追加投資の発生 長期 大 - 海面上昇情報のモニタリング
- 主要な機会
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区分 種類 事業活動への影響 時間軸 評価 対応策 機会 製品/サービス EV市場の拡大によるプラスチックマグネット、チタン酸バリウムおよび非接触給電用部材の需要増加 中~長期 大 - 市場ニーズに応じた供給体制の構築
- 研究開発投資の拡充
ハウス栽培の増加*による農業用ポリオレフィン保温剤の需要増加*自然災害からの農作物防護目的 中~長期 中 市場 CCUS市場の拡大に伴うCO₂固体回収材の需要増加 中~長期 大 - オープンイノベーションを活用したビジネスモデルの構築
- 研究開発投資の拡充
- 公的支援の活用
メタン直接改質法による水素・カーボンナノチューブ供給の需要増加 中~長期 中
- リスク管理
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CSR・環境委員会を毎月開催し、「国内グループの環境に関する統括管理」、「各事業所における年度目標の設定」や「各事業所から毎月の活動報告を通じた進捗管理」を実施しています。また、リスク管理委員会を通じて、取締役会への気候変動対応に関する報告を年2回実施しています。
- 指標と目標
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当社グループでは、2019年6月に会社設立100年である2033年を達成目標年度とした「戸田工業グループ 環境ビジョン2033」を策定し、具体的な数値目標を掲げて、気候変動対応に取り組んでいます。
当社グループの日本国内における2023年度のGHG排出量について、Scope1+2は25,059 t-CO2、Scope3は137,731 t-CO2でした。
2050年までにカーボンニュートラル(GHG排出を全体としてゼロ)を目指すため、Scope1+2のGHG排出量、売上高基準のGHG排出量及び再生可能エネルギーの利用について、2019年度に策定した『環境ビジョン2033』を見直し、挑戦的な2030年度の目標を設定しています。
- GHG排出量
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t-CO₂ GHG排出量 2023年度[t-CO₂] Scope1+2(日本国内) 25,059 Scope3(日本国内) 137,731 - 2030年度の目標
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- ①Scope1+2のGHG排出量 22,000t-CO₂に削減(2013年比で75%削減)
- ②売上高基準のGHG排出量 70%削減(2013年比)
- ③再生可能エネルギーの利用 17%以上
- GHG排出量(Scope1+2,日本国内)
- 売上高基準のGHG排出量(Scope1+2,日本国内)
- GHG排出量(Scope3, 日本国内, 2023年度)
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Category 項目 t-CO₂ 算定拠点 排出係数の取得方法 備考 1 購入した製品・サービス 98,722 戸田工業 IDEA Ver.2.3 算出対象の費目は、調達金額の上位90%以上 東京色材工業 2 資本財 5,423 戸田工業 環境省 排出原単位データベースVer.3.4 - 3 調達している燃料の上流 10,746 戸田工業 IDEA Ver.2.3
環境省 排出原単位データベースVer.3.4- 東京色材工業 4 輸送、配送(上流) 6,455 戸田工業 環境省 排出原単位データベースVer.3.4 算出対象は、調達数量上位から90%以上 小野田事業所 大竹事業所 岡山事業所 東京色材工業 5 事業から出る廃棄物 258 小野田事業所 IDEA Ver.2.3
環境省 排出原単位データベースVer.3.4算定対象は、生産拠点のみ(広島本社、東京オフィスは除外) 大竹事業所 岡山事業所 東京色材工業 6 出張 246 戸田工業 IDEA Ver.2.3
環境省 排出原単位データベースVer.3.4- 7 雇用者の通勤 334 戸田工業 IDEA Ver.2.3 - 東京色材工業 戸田ファインテック 8 リース資産(上流) 対象外 - - - 9 輸送、配送(下流) 1,490 小野田事業所 環境省 排出原単位データベースVer.3.4 取引数量の多い取引先向けの排出量をもとに拡大推計 大竹事業所 岡山事業所 10 販売した製品の加工 対象外 - - - 11 販売した製品の使用 対象外 - - - 12 販売した製品の廃棄 14,056 戸田工業 IDEA Ver.2.3
環境省 排出原単位データベースVer.3.4- 東京色材工業 13 リース資産(下流) 対象外 - - - 14 フランチャイズ 対象外 - - - 15 投資 対象外 - - - - その他(任意) 対象外 - - - 合計 137,731 - - - 注)IDEAは、農・林・水産物、工業製品などの日本の全ての製品・サービスの環境負荷物質を定量できるデータベースです。目標の達成に向けて、2023年4月1日から日本国内の生産拠点(大竹事業所、小野田事業所、岡山事業所)で使用する電力の全てを太陽光発電によるCO₂フリー電力へ切り替えました。また、駐車場を活用した自家消費型太陽光発電(ソーラーカーポート)を導入し、得られた電気を研究開発活動に使用する予定です。
今後、上記の地球温暖化対策への取組みを着実に実行するとともに、TCFDが推奨するシナリオ分析に基づいた気候変動のリスク・機会の評価を継続し、情報開示を段階的に充実していきます。